衝撃のカメオとの出会い
「薄い肌色の貝に横顔の女性・・」子供の頃に見たカメオはそんな印象で、特に魅力を感じるでもなく、その印象が「カメオ」として定着。
全然興味がなかったので、宝石を扱う仕事をしていても、絵画や音楽や芸術品が大好きで、ヨーロッパ美術館巡りの旅をしても、記憶の片隅にもないカメオ。きっと素晴らしいカメオに出会っていたでしょうに。
「つまらないモノ」としての固定観念。思い込みって本当に勿体ないですね。
まだ、バウレットで働く前の事、当時から知り合いだった弊社の社長に「カメオのイベントがあるから見に来たら」と声をかけられました。
「カメオなんて全く興味ないけど、暇だから行ってみようかなー」
驚きました。
私がそれまで「カメオ」だと思っていたものは1つもありませんでした。いわゆるお土産として彫られたカメオだったのですね。
本当のカメオは美しくて、繊細で、可愛くて、作家の方の想いがつまっていて、1つとして同じものはない。そして、とてもオシャレなものでした。
「つまらないモノ」だったカメオが「美しい」「素晴らしい」「芸術品」に変わってしまった出来事。以来、カメオの魅力に取りつかれています。
カメオは身に着けられる絵画であり、天然素材の温もりと、緻密で繊細な美しさを感じさせられる素晴らしい芸術品です。
カメオについて
カメオとは浮き彫り彫刻のことです。
サードニクス、コーネリアン、コンク貝などの貝殻、メノウやターコイズ、サンゴ、溶岩などに彫り出されます。
歴史は古代エジプト時代(紀元前3000年)に遡り、発達したのは古代ギリシャ・ローマ時代といわれています。装飾品としてだけでなく、お守りや印章としても身に着けられていました。この頃は宝石が素材とされており、壺や杯に浮き彫りが施されたものもあるようです。
ルネッサンス時代、イタリアのメディチ家でのカメオ収集がカメオの流行に火をつけ、多くの芸術家たちが素晴らしい作品を残します。
女性がカメオをアクセサリーとして身に着けるようになったのもこの頃です。
19世紀になり、ヨーロッパ女性の間でカメオが流行しました。需要に反し、宝石の調達が間に合わなくなり、シェルカメオが盛んに作られるようになりました。
以来、ストーンカメオはドイツ、シェルカメオはイタリアで制作されています。
シェルカメオ
現在、世界最大のシェルカメオの生産地はイタリアの「トーレ・デル・グレコ」で、世界のシェルカメオのほぼ100%を生産しています。
天然の貝を原材料とし、貝の白い部分と褐色の部分を彫ることでデザインを浮かび上がらせていきます。貝のこぶなどもデザインの一部として用いられます。従って、その作品は作家の手作りの一点物となり、同じ作品は存在しません。
サードニクス・コーネリアン・コンク貝などが素材として使われますが、その中でチョコレート色のサードニクスは選ばれた作家のみが手にすることを許されています。
デザインは作家のイメージから生まれています。
神話・絵画・聖書などのモチーフ以外にも、女性の顔やエンジェル、花、動物などのデザインも多く、とても斬新で、時に可憐で美しく、時に神々しく、また艶めかしく、オリジナリティと芸術性に富む作品の数々は高く評価されています。
毎日身に着けられる芸術品
普段のラフなスタイルにもカメオは素敵に身に着けられます。
クラシカルでお上品なイメージが強いと、普段使いには抵抗があるかもしれませんが、たとえば薔薇のモチーフのカメオに皮ひもを通してジーパン&Tシャツスタイルに身に着けるだけで、断然オシャレ度がアップします。私にも経験がありますが、カメオを身に着けている時に限って周囲の視線を首元にビンビン感じます。
とっても使いやすいので、一つだけでなく、二つ目、三つめと購入される方が多い物でもあります。身に着けない時には、額縁に飾って絵を楽しむこともできますね。
お持ちのお客様は、みなさん口をそろえたかのように「自分のカメオが一番好き!!」とおっしゃいます。
カメオは2つと同じものはありません。感性や心に響く、とっておきのオンリーワンのカメオに出会えたら素敵ですね。